そもそも遺伝子組み換えワタがなぜ見つかったかというと、農林水産省が遺伝子組換えワタ種子の検査法の開発をあれこれと試している中で、2010年4月から2012年7月までの間に、中国から輸入したワタの種子に、日本では承認されていない遺伝子組み換えワタの種子が混じっていたそうです。

中国における遺伝子組み換えワタの占める割合は、2013年で90%になっています。中国から「遺伝子組み換え体が混入していないワタの種子」を輸入することが、ほとんど不可能であることは、ワタの原料を扱う関係者なら暗黙の了解であったと僕は思います。

今回、4つの企業が輸入したワタの種子が「陽性(遺伝子組み換え体を含む)」という結果となったことを受けて、自主的に自社の商品を調べ、販売の中止と商品の回収をした種苗メーカーの方が電話取材に応じてくれました。この企業は、いまでも「お詫びとお知らせ」を掲示しています。

この企業の他は、ウェブサイトでも遺伝子組み換え体の混入についての告知を現時点では公表していませんでした。

要約すると「輸入業者からワタの種子を購入しており、遺伝子組み換え体ではないと聞いていたのだけれど、もしやと心配になり検査機関に分析を依頼してみたら陽性だった。正直、驚いた」

その後、半年間、いろいろ手を尽くして遺伝子組み換え体でないワタの種子を探したのですが、「もう洋ワタで遺伝子組み換え体が混入していない種子を探すのは断念して、来シーズンの秋蒔きのワタの種からは販売をしないことを考えている」ということでした。

遺伝子組み換えワタも、非遺伝子組み換えワタも、実はほとんど同じ地域の畑で栽培しています。同じ地域というより、隣り合った畑で栽培していたりします。

両者が交雑しないように、何十キロも離れたところで隔離して栽培はしていません。そんなことをしたら、収穫機を移動させたりトラックを移動させたりして、燃料代や手間がかかってしまうからです。

日本に”初上陸”したことがわかったのが、昨年末であって、実際のところは、これまでも輸入され、ホームセンターなどで販売されていたと考えるのが妥当だと思います。

今回の件で、農林水産省の指導を受けた各都道府県の告知を調べたところ、宮城県しか告知を出していないことがわかりました。

(続く)

6月 27, 2015 5:33:24AM