ギリシアは、遺伝子組み換えで棉花を栽培が法律で禁止されています。ギリシア産綿花の衣類や綿実油は、非遺伝子組み換え商品としてプレミア価格で販売されています。
ですが、2000年の時点で、120トンの種子が遺伝子組み換え体が混入していました。ドイツのフライベルグの研究所で検査した結果、無作為抽出した7つの検体のうち、2つが遺伝子組み換え体が混入していました。最もレベルが高かった組み換え体の混率は、種子の遺伝子全体の2%でした。同じことが、2004年にも起きています。
しかし現在も、ギリシアの綿花は、科学的な裏付けがないまま「非遺伝子組み換えワタ」として高い付加価値を付けられて流通しています。
原料としての綿花を扱う現場を見た方なら容易に理解されると思いますが、山のように積み上げられた綿花を巨大な重機で取り扱っているわけです。
経済合理性を考えれば、輸入された遺伝子組み換えワタも、非遺伝子組み換えワタも、取り扱う現場は、ほぼ同じ場所になります。重機の移動や倉庫を複数建設するコストがかからないからです。遺伝子組み換えワタが混入してしまうのは、ほぼ避けられないのが現実です。
環境保護団体が遺伝子組み換えワタの混入について調査をしたことがあります。地図に赤い印がついているのは、遺伝子組み換え体が混入していたことを申告した地域です。黄色い印は、調査への回答を拒否した地域です。5つの大陸すべてに遺伝子組み換えワタは拡がっていることがわかります。
https://www.google.com/maps/d/viewer?mid=zbaZOjKjysj8.kkzlQTMH4FFw&hl=en_US
(新聞報道された個別の事例も閲覧できます)
いわゆる”オーガニックコットン”は、遺伝子組み換えワタ種子を使ってはいけないことになっています。ですが、認証機関は組み換え遺伝子の検査はしていません。仮に、綿の繊維を調べたところで、そこには遺伝子が十分についていないため、検査結果はかならず陰性(非遺伝子組み換え)になります。
バイオテクノロジーについての理解を広めているバイテク情報普及会さんに取材した際のコメントです。
「遺伝子組み換えワタが栽培されていない国から非遺伝子組み換えワタの種子を手に入れたとしても、そのようなワタの種子が完全に非遺伝子組み換えであるか否かは、現実には分析してみなければ何とも言えないようです。農林水産省の方が言われるように、”検出限界を下回る遺伝子組み換え種子は、検出できるときとできないときがある”ようですと、完全に非遺伝子組み換えワタ種子であると言い切ることは、困難かも知れません」
アパレル企業から消費者には伝えられていませんが、世界の綿花ビジネスの世界を同業者として8年間見てきた僕からすれば、これが現実だと思います。
(続く)