営利企業である株式会社が新品種が開発する動機は、利益を最大化するためです。それは、株式会社である以上、正しい選択です。
収穫量が多い、成長が早い、粒がそろっている、形や大きさが運搬に適しているなど、経済合理性を優先して品種改良はされます。そのために、莫大な開発費を投じています。

人間にとって都合のよい品種は自然界には通常は存在しません。そもそも、自然界は、単一品種が大量に存在するということはなく、森林やジャングルを見れば、数多くの生命体が、絶妙なバランスで生息していることがわかります。だからこそ、森林やジャングルには、「不作がない」わけです。昆虫も大量発生するということがありません。天敵がいるので、大量発生する前に、ある程度増えたら、食べられてしまいます。このバランスは、本当に「神」的にすごいなぁと、ジャングルに住んでいた時に感動しました。

最先端の品種改良の技術を用いれば、自然の状態では決して交じり合うことのない品種同士からまったく新しい品種を作りだすことができます。自然界では、異なった種の間では生殖ができない種の壁が厳存します。でも、バイオテクノロジーや遺伝子工学の技術を用いれば、はその種の壁を破り、異種間の新品種を作りだすことを可能にしました。

例えば、植物の遺伝子と動物の遺伝子を合体させることもできます。遺伝子組み換えコットンでは、光沢を出すためにクラゲの遺伝子、長い繊維を作るために、蜘蛛の遺伝子、天敵に食べられないために、蛾(ガ)の遺伝子、さらに、放射線の照射なども行われています。(この遺伝子組み換えによってできたコットンから作られる綿実油の安全性は、現在のところ問題ないとされています)

短期的にはF1種や遺伝子組み換え種は、収穫量が飛躍的に増えました。それは、生産者を大いに喜ばせました。しかし、予期せぬ問題が生じました。それは、種と一緒に導入された化学肥料と農薬で。

F1種や遺伝子組み換えは、たくさんの化学肥料を与えることが前提です。水も大量に必要とします。化学肥料を多く投入すれば作物はよく成長しますが、雑草もよく繁茂します。除草剤の量も増えます。長い目で見れば、土壌の劣化や天敵である昆虫の大発生などで栽培が困難になります。最近では、スーパー雑草が出現し、除草剤が効かなくなってきています。殺虫剤耐性を持つ昆虫も増えています。

生産者である農家からすれば、化学肥料、種、除草剤、殺虫剤などは、毎年購入しなければならないものです。収穫量にかかわらず、固定費というお金がかかります。作物の病気、昆虫の襲来、土壌汚染、多額の負債、地下水の減少や汚染、無理な灌漑による水源の枯渇など、解決困難な問題に直面するようになりました。

その結果、コットンの一大生産国であるインドでは、抗議運動が頻繁に起きるようになりました。絶望した大量の自殺者が出るようになったからです。

5月 28, 2014 5:45:24AM