※ 画像は、タイ国境の綿作地(サンパウロン地区)の様子です。

もう雨期だというのに、今年はほとんど雨が降りません。バッタンバンでは8月が最も降水量が多く滝のような雨が降るのですが、深刻な干ばつに見舞われており、畑の土はどこも乾期のようにカチカチのままです。

心配になり、バッタンバン市街から一日かけて、サンパウロン地区のクルタさんを訪ねました。蒔いた綿花の種のおよそ半分が水不足のため発芽していませんでした。この地区には、灌漑設備(水を川や湖などから引いてきて農地をうるおすこと)がありません。農業に使う水は、すべて雨水に頼っています。

遠くに見える山を越えたらタイです。今季の農業に見切りをつけて、多くの人が現金収入を求めてタイへ出稼ぎに行ったと話していました。

今回、クルタさんに預けたのは、タイの在来種(ある地域で伝統的に栽培され、現代的な品種改良を行っていない作物の種)です。南国のタイでは珍しく最も冷え込む時期には、摂氏零度になる高地で栽培され続けてきた繊維の短い種です。

タイの種が言葉を話したなら「こんな酷暑で乾燥した畑に放り出されるなんて聞いてないよ」と不平を言うだろうなと、荒涼とした畑を眺めながら思いました。

驚いたのは、そんな環境でも、およそ半分の種が発芽してたくましく若葉を広げていました。在来種は、その土地の気候風土に適した形質に順応していきます。もともとがF1と違ってクローンではないので、生命力が強いのです。今年の干ばつがどの程度まで深刻になるかわかりませんが、なんとか生き延びて真っ白な綿の実を結んで欲しいと思わずにいられませんでした。

クルタさんの畑は、半ヘクタールほどの小さな畑が自宅の裏に点在しています。周辺は、かなり前から地雷注意の警告表示がされているのですが、他に耕す土地がないのでクルタさんはここで農業を続けてきました。

バッタンバンでは、今月10日にも、耕耘機に乗った65歳の男性が対戦車地雷を踏み、即死する事故が起こりました。クルタさんには、「慣れた土地であることに過信せず、常に危険を意識すること」を約束してもらい、サンパウロン地区を後にしました。

8月 16, 2014 5:48:31AM