「鮮やかな色の蛍光色や真っ白過ぎる服は買わないように。子ども服は、淡い色のものを買うように!」
今年はじめの北京消費者団体の調査では、子ども服の38%が品質基準を満たしていないことがわかりました。
中国最大級の子ども服生産基地の一つが浙江省にあります。染色をするには大量の水が必要なため、染色工場は河川の近くである必要があるからです。
中国にも、染色で使用できる化学物質の規制があるのですが守られていないのが現状のようです。
強く懸念されている物質に、芳香族アミンを生成するアゾ色素があります。先進工業国では、芳香族アミンを有害物質として数百種のアゾ色素の使用を禁止しています。
その理由は、汗や唾液、体液によって製品から溶け出したアゾ色素が、皮膚表面の細菌や人体内の酵素の作用で変化し、アレルギーや発がん性など人体に害を及ぼす化合物になる可能性があるからです。
可塑剤(染色を加速させる効果がある)として知られるフタル酸エステル類は、内分泌系に影響を及ぼすことにより、生体に障害や有害な影響を引き起こす外因性の化学物質です。
現地紙の報道によれば、中国の繊維産業で使用される染料および添加剤の量は、世界の繊維産業で使われる化学物質の42%を占めているそうです。
中国環境基金は、「廃水処理設備の老朽化が進んでいるが整備が追いつかない。多くの廃水は未処理のまま河川に流されている」と述べ、
中国の水汚染はすでに改善できなくなる状況に至ったと指摘しています。
染色工場は、下流域からさらに上流の農村部に移転をしているようです。背景には、染色に必要なきれいな水と安い人件費を企業が求めていることがあります。
高温高圧の釜で強い薬品を使用し、短時間で綿と反応させる精錬漂白。染まりつきを強くするために、ニッケル、クロム、銅などの重金属を大量に使った媒染剤。色落ち防止のための高いホルマリン濃度の薬剤。
列挙していけばきりがないですが、早く、安く、大量に作られる衣服の裏側には、相応の理由がありました。
有害な化学物質は、工場から河、そして海へと排出され続けています。
(続く)