インターネットで調べられる政府や企業の公開情報から以下のことがわかりました。

栽培地は宮城県仙台市の2カ所で栽培しています。総面積は合計1.6ヘクタールです。このプロジェクトは、経済産業省の「地域経済産業活性化対策費補助金(先端農商工連携実用化研究事業)」に採択されています。補助金の額は、およそ4千万から約3億円です。

コットン栽培の場合、世界で最も単位当たり収穫量(単収=イールド)が高いのは、アメリカの1ヘクタール当たり4トンです。これは、遺伝子組み換え種子、化学肥料、農薬、ホルモン剤など収穫量を上げるために様々な技術や薬剤を駆使した場合です。

東北コットンが世界最高の単収と仮定すると、収穫量は6.4トンです。綿花(コットンボール)は、およそ3分の2を種が占めるので、種を取り除くとおよそ2トンが綿花の繊維となります。さらに、紡績する過程でロスが出ます。たとえば、種を取り出す行程や紡績する工程で落綿(らくめん=床に落ちてしまう綿)や空綿(くうめん=機械で処理するうちに、細かい繊維が飛んでしまう)が発生してしまうからです。

そのような仮定は、東北コットンには当てはまらないと思います。綿花栽培に必要な農薬やホルモン剤は、農林水産省の承認が必要だからです。

実際のところ、2012年の東北コットンプロジェクトの記者発表では、東北コットンはおよそ73キロの収穫量にとどまったそうです。

種を取り除く工程であるジンニング(繰り綿=くりわた)の後であるはずなので、24キログラムが、製品の製造に使われるコットン繊維となるはずです。

東北コットンプロジェクトが、これまでどのような種子を使ってきたのかは、種の輸入を担当する東洋棉花株式会社のウェブサイトでは公表されていませんでした。

日本における遺伝子組み換え種子については、日本モンサント株式会社が2003年に遺伝子組み換え綿の承認を得ています。バイエルクロップサイエンス株式会社(2006年)、ダウ・ケミカル日本株式会社(2006年)が農水省から承認を得ています。現在、23種類の遺伝子組み換え種子の綿が、日本国内で承認されています。

一例ですが、東北コットンを使った製品として、デニム製品がありました。販売サイトに混率表示があったので、そのままコピーします。

「通常販売価格:11,880円(税込)【素材】コットン100%(東北コットン5%、ウガンダオーガニックコットン26%、スーピマコットン69%)」

東北コットンは、5%のみ使用されています。

サンプル製作や、製品の生産に使った東北コットンの総量はわかりませんでした。

(続く)

追記 スーピマコットンは、アメリカ産です。

9月 01, 2014 4:59:46AM